4月1日に川内村で役場機能を再開して1ヶ月が過ぎた。役場だけではなく保育園、小中学校、診療所、ディサービスやヘルプ事業、診療バス、また郵便局やJA、郡山信用金庫の民間金融機関にも体制強化や再オープンに協力してもらった。さらに民間の路線バスの運行も始まった。しかしまだまだ以前のような生活環境を取り戻すには課題が山積している。食料品や日用品を扱う商店、国県から派遣されている職員や除染作業員などの宿泊施設と食事場所の確保は喫緊の問題だ。
自治体が永続的に存在し続けるため必要最低限なナショナルミニマムを、もう一度原点に返って見直す作業が続いている。このことは自治体の存在意義や村の現状をもう一度確認するうえで貴重な時間を与えられたと思っている。震災原発事故からすでに一年以上が過ぎ、雇用の確保については明るい材料もあり少しずつの前に進みつつあるが、長期的に亘って徹底した対策が必要な課題は村民の健康管理である。
特に医療と介護環境の充実は健康管理と高齢者の不安払拭のためのインフラであり、今の状態では村民の不安解消に至っていないばかりか、このままでは戻りたくても戻れない状況が続き村の将来に不安の影を落としかねない。さらに放射線被ばくへの不安を解消するために定期的なホールボディカウンターや甲状腺がんの検査体制を整えていかなければならないと考えている。
まず戻ってこられる村民が少しでも安心感を持てるように、村外の医療機関の協力を得て新たな診療科目を増やすことができた。郡山市の安積ホスピタルでは4月から心療内科、平田中央病院は5月から整形外科を開設、その後眼科の診療と二次医療救急対応、ホールボディカウンターの定期検査をも確約してもらっている。小野町公立病院では総合健診と人工透析への配慮をお願いしている。ホールボディカウンターの検査サンプルをもとに子供たちの甲状腺がんの検査体制を整えて、子どもたちの超音波検査を実行する必要があるが、東京大学医科学研究所の坪倉先生や長崎大学高村先生の協力を得ながら体制づくりに着手したいと考えている。
学校での給食調達食材が、どのようなチェックを受けてきたのか不安だという保護者もいるので、4月から給食を作る前に全ての食材を保育園と小中学校ごとにシンチレーションカウンターで調べ始め、現時点で全ての給食が検出限界値以下であった。また今月から村内の全ての集会所にも配備して地区住民が摂食する食材を希望により計測していく予定だ。
内部被ばくの最大の要因が食物からの摂取である。チェルノブイリでもこの問題については、震災直後よりも数年経って内部被ばくが増えた傾向がみられた。気持ちが緩んだ時こそチェックが必要なので村としては5年とか10年とかの長いスパンで調査と注意喚起をしていきたいと思っている。
介護施設の必要性については十分認識している。現在約40名の村民が避難先の自治体にある特養や老健、グループホーム施設にお世話になっているので、そのことが利用者の家族にとっても帰村できない一つの理由になっている。施設の収容能力が120%~150%と超え、待機している地元の利用者にも迷惑をかけている状況だ。双葉郡の介護施設が壊滅状態であることから、双葉郡民の受け入れ施設としても急務だと思っている。