原発の事故により農用地が汚染され、基幹的産業である農林畜産業に大きなダメージを与えた。特に田畑作物の作付により収益を見込むことが極めて困難になり、農用地本来の活用に根本的な転換が求められている。
今後村では各種事業を展開して復興を果たすため、村全体の土地利用を見直すことが不可欠になる。迅速な復興を押し進めるため原子力災害による被災地域についても、「東日本大震災復興特別区域法」の土地利用許認可適用区域にするよう要望した。
特別区域法は、津波地域が対象で復興整備計画を作ることにより、農振地除外や農地転用の許認可を簡素化できる法律である。吉田副大臣は、「法律の解釈あるいは改正もあるので検討したい」と話していた。本県担当の若泉征三復興政務官も来村した。
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原発事故によって、農林畜産業をどう見るべきかが改めて問われている。 企業進出のための工業団地化や住宅地として、あるいは再生エネルギーとして太陽光パネルを張り巡らすなど、さまざまな意見や提案があるのも事実。それを全否定するつもりはないが、それだけでは川内村の復興にならないのではないかと考える。
川内村の自然、気候、森、土壌、水、地形に合った農林畜産業は膨大な時間とお金、エネルギーを掛けて築いてきたもの。一瞬で危機的場状態になったが、これをないがしろにして本来の復興になるのだろうか?
例えばチェルノブイリ事故では除染についての考え方が日本とは全く違う。あれだけ広大な土地を目の前にして、おそらく全てを除染することは不可能だと考えたのかもしれない。重要なのは、現実に汚染された土地で、どうすれば安全な作物をつくり安心して生きていけるのか、その仕組みを25年の間に作ってきたこと。
詳細な土壌モニタリングを実施し、それを地図に落とし、汚染度にあった作物を選定し農業生産のやり方をつくりあげた。さらに徹底した食品検査を継続するなど一貫した対策を相互に結びつけて行なってきた。これらの仕組みを取り入れることによって、川内村にあった復興になっていくのではないだろうか。少なくとも科学的な検査体制を充実させ、自分の家で作ったお米や野菜を、自分たちで食べられるようにしたいものだ。