明治20年上川内村と下川内村が合併し川内村が誕生して123年、先人が森林と共存しながら堅実なる発展をみて今日に至った。村の総面積の87%が森林で占められている中で、12000ha余の民有林が存在しているのは、明治初年の地租改正更には山野改正の際に官有林に間違って編入されてしまった林野を、一村の村人が明治政府を相手に果敢にも引き戻すための行政訴訟に挑み、6年余りの歳月に渡る苦闘の末に勝ち取ったものである。
村有林として統一され、林業の恩恵は村民の経済的培養と社会資本の充実に大きな役割を果たし、財政力に乏しかった本村も大きく進展してきた。戦後昭和20年後半からは、計画的な木材生産による財源確保、分収林制度の導入や薪炭材の供給、自家用材の売り払いなど村民生活を支え、森林の持つ公益的機能と公有財産を現在に受け継いできた。
本来ならば昨年の平成23年が記念すべき年であったが、原発事故の影響で放射性物質の汚染によって、森林経営など村が描く将来像が一瞬にして奪われてしまった。先人の偉業を感じながら、何を守り何を伝えていくのか、変えて行くべきは何なのか、それらを適切に判断していかなければばらない時が来ている。
公有林野下戻式典を契機に、「自分たちの村は自分たちで守る」という基本理念のもと、精一杯の努力を傾注しながら一日も早い復興を成し遂げ、緑豊かで美しい村を自分たちの手で取り戻していく覚悟です。