20キロ圏内の避難指示解除準備区域が10月1日解除された。荻・貝の坂地区の居住制限区域は規制が緩やかな避難指示解除準備区域に再編された。10月1日をもって劇的に住民が戻って来るかというとそうではない。線量への不安、生活していくうえでの不便さ、人里離れたところで生活する寂しさ、図らずも都市部での避難生活に慣れ、自宅へ戻るという環境変化に戸惑いを感じる住民もいる。
原発事故による避難指示は、地域だけではなく家族やそれぞれ心の分断も引き起こしてきた。それぞれの判断を尊重していくつもりだ。帰りたいと思った時に、いつでも戻って生活できる環境を整備しておくことが僕の仕事。絶対戻らない、と決めた人にとっても、自分が生まれ育った川内村が消滅していいわけがない。
ここで一息という訳にはいかない。再編された地域には、18世帯53人の住民がまだ戻れないでいる。一日も早く戻れる環境を取り戻していくつもりだ。政府としても避難指示を発令した当事者として、復興を加速させ、安心した生活が送れ、笑顔で迎え入れられるような環境整備を引き続きお願いしたい。
今回の解除や再編は、次のステージへの新たなステップと捉えている。それぞれの意見を丁寧に聴き、全村解除に向けしっかり取り組んでいくつもりだ。以前の賑わいを取り戻すとともに新しい川内村を創造していく。
解除されても留守宅は存在する。地域の治安維持、交通事故防止、防犯防火など戻っている住民が安心して生活できるためにパトロール強化出動式が役場前で行われた。双葉警察署、県警本部、広域圏消防、村内パトロール見守り隊が参加、白バイ2台を先頭に車両30台がパレード。解除された区域での戸別訪問も行われた。