山笑う季節を迎え、村民皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。この度の川内村長選挙に際し皆様にご高配を賜り誠にありがとうございます。お陰様で無投票という形で四度の重責を担わせていただくことになりました。
今4期目を迎えるに当たり、12年前の原点に立ち返り、座右の銘である「初心に生きる」をもう一度確認しようと思っています。初心はシンプルで常に謙虚です。この志を忘れることなく、一日も早い被災地からの脱却と、人口減少・超高齢社会を目前にした新たな村づくりのため、粉骨砕身精進してまいります。
顧みれば震災・原発事故によって「被災地」と呼ばれるようになったふるさと川内村ですが、2012年4月役場機能を村に戻し、いち早く除染を進め、企業誘致や野菜工場、村内に仮設住宅や災害公営住宅、診療所の診療科目を増やし、特養施設や商業施設、ビジネスホテルや葬祭場、先月には室内温泉プールがオープンしました。
井戸掘削や新築住宅への補助、地域振興券などの制度も立ち上げてきました。さらに水稲作付けが事故前の約7割まで回復しており、新たな農業法人が立ち上がり、花卉や施設野菜が見直されています。一日も早い復興と帰村のため無我夢中で目前の課題に取り組んでまいりました。時には折れそうになることもありましたが、皆様のお力添いをいただくことで少しずつ環境が回復し、現在6割超の村民が戻って生活を再開するまでになりました。しかし、未だ4割近い村民が避難を余儀なくされ、さらに荻・貝の坂地区には避難指示が継続していることも現実であります。
しかし、このような現実をしっかり受け止めながら、それでも未来に目を向けていかなければならないと考えています。国道399号線や小野富岡線が、国の権限代行によって整備が加速し、いわき市や中通りとの繋がりがより身近なものになり、新たなネットワークが確立されるに違いありません。
現在戻って来ている村民は1,780人、この人口は20年~30年後の未来です。その未来を今目の前に突き付けられています。それも超高齢化社会です。さらに間違いなく復興の反動減が進み、財源的にも厳しい未来が待っているのに違いありません。復興の先にある人口減少にどう対応していくのか。まさに川内村の生き残りをかけた戦いが、次のステージに用意されていると言っても過言でないと思っています。
では、戦うための最大の武器は何か? それは「挑戦」ではないでしょうか。本当に復興を成し遂げようとするなら、「被災地」であるという不幸に、いつまでも甘んじているわけにはいきません。一日も早い「被災地」から脱却と人口減少への対応をすることが、新たな川内村を創っていくことになると確信しております。どうすれば生活できるのか、生きていくために何をすればいいのか、選択と集中、アイデアが求められると思います。
今後、皆様の復興にかける熱い思いをしっかり受け止め、日夜努力を重ねることを再びお誓い申し上げ、就任のご挨拶とさせていただきます