村に戻られた皆様、避難を余儀なくされ故郷川内村を離れている皆様、それぞれ希望や不安など、様々な思いを抱かれ新しい年を迎えられたことと存じます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故から1年10か月が過ぎ、少しずつ前を向いて歩いて行こうとする覚悟と決意を持ち、村は復興に向け精力的に歩み始めております。昨年は役場機能を村に戻し、村民の皆様が安心して暮らすことができるために、除染などの生活環境の整備を進めて参りました。
そうした中、昨年10月13日に天皇皇后両陛下に本村を訪問していただきました。天皇陛下の村民を気遣った優しい言葉と、慈愛に満ちた皇后陛下の微笑みにどれだけ勇気付けられたか分かりません。除染作業現場や応急仮設住宅において、村民一人ひとりに声をお掛け頂いたことは、復興に向けた何よりの励みとなりました。
村では、「戻れる人から戻りましょう」との方針の下に、村民の皆様が安心して村に帰って来ることができるよう、生活居住区域や農地の除染、医療環境の充実、農作物の放射線量測定、雇用の場の確保のための企業誘致、保育園や小中学校の再開、バス路線の開設、コンビニの誘致等生活環境整備、定住促進住宅やビジネスホテル、野菜工場の建設などに取り組んで参りました。
今年も一人でも多くの皆さんに安心して戻っていただけるよう、3月には総合計画を策定し、新たな村の方針を示し復興を加速させるとともに、稲作の再開、復興公営住宅の建設、森林除染の実施、健康管理の徹底、介護施設の建設、損害賠償の実現などについて強力に進めていきたいと考えております。
「自分たちの村は自分たちで守る」という基本理念のもと、精一杯の努力を傾注しながら一日も早い復興を成し遂げ、緑豊かで美しい村を自分たちの手で取り戻していく覚悟です。村が変わる。変わるためには誰かが変えてくれるのを待つのではなく、村民自身が立ち上がる。村民自身が少しの勇気をもって一歩を踏み出すことではないでしょうか。苦しんだ分だけ他人に優しく、辛い思いをした分だけ頑張れるような気がしてなりません。新しい年が少しでも皆様にとって幸せな年になりますよう願っております。