初心はいつも新鮮で謙虚、そしてシンプルで感謝の心の代表選手。しかし時間の経過と共に忘れて、大切なものを見失うことがある。今の立場は自分が努力した結果だと勘違いする。あくまでも自分が、自分が・・。教師の夢をあきらめ稼業を継ぐようになった頃、どんな小さな注文をもらってもありがたい気持ちになれた。「すまんが蛍光灯1本届けてほしい」、「はい、わかりました。即届けます」と、飛んでゆくことができた。ああ有難いな、と思った。それは蛍光灯1本いくら、とかガソリン代差し引いたら得だ、とか損だとか、そんな計算一切しないで、うちに声を掛けてもらったことが嬉しくて配達することができた。
これが初心。
過疎が進む最大の要因は不公平感にあると痛感した。可能性がない村、努力しても認めてもらえない地域からは若者や意欲を持った人たちが去っていく。閉塞感や不公平感が漂う環境を何とか変えたいと思った。損得で判断しない、何が正しいのか正しくないのか、当たり前のことを当たり前にやる、一隅を照らす行政運営をしようと誓った。それが12年前の志。
これが初心。
避難したビックパレットで不安げな先行きが見えない状況の中、せめて毎朝避難者の顔をみて話を聞きながら励ましてやろうと思った。そして、どんなことしても必ず戻ると誓った。
これが初心。
感謝の心はあらゆる営みの原点であり初心。折り目節目に原点に帰ろう。苦しみに打ちひしがれたら初心を思い出そう。