




「二人だけの卒業式」
あの日から7年が経過した。二人が小学校2年生から3年生になるときでした。忘れることができない。避難を余儀なくされ、夏月さんは慣れない都会の生活で辛いことも多かったかもしれない。一方、小学校4年生の時に村に戻ってきた千果さんは、クラスメイトが一人もいない現実に寂しい思いもしてきた。原発事故がなかったら、当時の同級生20名と一緒にこの日を迎えたかもしれない。
「一人だけど独りじゃない。寂しいけどかわいそうではない」、3年前の小学校の卒業式での千果さんの言葉だった。この言葉に私たち大人がどれだけ救われたかわからない。そして一人だったところに昨年の10月、夏月さんが戻ってきた。二人は離れ離れになってからもメールなどで情報交換をしていたそうだ。しかし戻ってくることは連絡しなかったそうだ。千果さんへのサプライズだったとか。
これまで多くのものを一人で背負ってきた千果さんにとって、夏月さんの帰村はどれだけ喜んだか、想像するにあまりある。癒されそして刺激になったに違いない。
千果さんの答辞には、夏月さんへの感謝の言葉で溢れていた。二人でふたば未来学園への入学が決まっている。思いっきり楽しんでほしい。卒業おめでとう。