尹 美亜(ユンミア)監督・ドキュメンタリー映画「一陽来復」が、イオンシネマ福島で福島県初上映。上映後、監督と一緒に舞台挨拶の機会をいただいた。原発事故の最大の被害は、差別と人間の尊厳の喪失ではないだろうか。差別は自分以外の者の評価と対応だから実績の積み重ねと現状認識で克服していくしかないと思っている。
原発事故から復興を進める中で、多くの不条理と対峙する村民と向き合ってきました。お金や制度、支援者サポートの大切さを痛感しながらも、それだけでは真の復興にならないのではないかと気付かされた。「自ら立ち上がる力」の重要性、それは人間の尊厳だと感じた。そのことをこの映画に登場する人物から学ばせて頂いた。
登場している人物で共通していることは、嘆かない、愚痴を言わない、批判しない、人を責めない、そして笑顔。だからこそ余計に説得力がある。どこかで折り合いを付けながら前に進もうとする人間の持つ回復力、したたかさ、凛としたところとたおやかさを感じる。
与えられることに慣れてしまうと壁にぶつかったとき、自分で解決できないときは他人のせいにする。自分で解決しようとする気持ちも萎えてくる。社会が悪い、制度が悪い、行政が悪い、ここに登場している被災者は、自分ができることを淡々とそれも当たり前のようにやり続けている。そのことに感動する。ぜひ観てほしい。