不動産の賠償基準が示された。旧警戒区域が居住困難区域と解除準備区域に見直された本村にとっても、避難住民の生活再建のために課題であった財物賠償の基準が示されたことは、戻る戻らないなど住民の判断材料になる。居住制限区域(荻・貝の坂地区)は、指定解除までの標準期間を3年として事故前価値の約2分の1、解除準備区域は2年として約3分の1、どちらも一括払い。
建物賠償については、①固定資産評価額、②平均新築単価、③不動産鑑定士による個別評価の3方式から選択できる。しかしどの方式が有利か、被災者自身が賠償額をイメージすることは難しいと思われ、今後簡易な算定方法を示す必要がある。家財や外構、庭木についても基準も示され、全賠償額での判断が重要になってくる。
旧緊急時避難準備区域については、住宅の補修・清掃費用として定額30万円。これを上回る場合には実費賠償となる。精神的損害は、中学生以下の子供一人月5万円、来年3月まで継続。全住民来年3月まで分一括一人20万円。来年4月以降については協議をしていく方向。何らかの理由があって避難しなかった住民と早期帰還者については、避難継続者との差異を解消するために遡及して賠償されることになった。
財物賠償については長い時間をかけて何度も協議を続けてきた。避難者にとっては納得いかない点もあると思うが、この基準が全てではない。あくまでも一つの最低ラインを示したものであり、個別具体的な賠償は今後東電が具体的な基準を公表して対応していくことになる。